商業出版への最短ルート! 魅力的な書籍企画書をつくる8つのポイント


20141203

出版科学研究所の調査によれば、2013年の推定売上高は前年比575億円減の1兆6,823億円と、不況が続いている出版業界。約30年前の売上高に戻ってしまったといえば、深刻さが伝わるだろうか。

出版不況をよそに、近年増えているのが本を出したいという人たちだ。本を買う人より出したい人のほうが多い、という冗談が聞かれるほどだが、本を出したい側からすると、いまは出版が実現しやすい時代と言える。売れる売れないを別とすれば、現在1年間に出版される新刊書籍タイトル数は約8万点で、30年前と比べると約3倍になっているからだ。

・いきなり原稿を書いてはいけない
しかし、本を出したいけど、出版社に門前払いをされ続けているという人も少なくない(自費出版の会社なら大歓迎だろうが、基本的に出版しても読まれないので筆者は推奨していない)。単純に本人の実績が足りないということもあるが、よくある間違いが、いきなり原稿を書いて出版社に持ち込むことだ。

・A4用紙2枚で出版は決まる
原稿がないと判断しようがない小説などは例外として、一般的な実用書の場合、著者がどんな実績があるかが原稿よりも重要だ。その資料もなしに大量の原稿を送られても、編集者は放置するしかない。逆に言えば、実用書を出版したいのなら、出版社に見せるのは書籍企画書と呼ばれるA4用紙2枚程度のプレゼン資料だけでいい。

・魅力的な書籍企画書のポイント
実際、企画の決済をする出版社の編集会議でも、基本的に必要なのは書籍企画書だけだ。つまり、魅力的な書籍企画書をつくることができれば、出版は実現できる。そこで今回は、書籍企画書に必要な項目をポイント付きでご紹介する。筆者はこれまでに何十冊もこの8項目だけで企画を通しているので、参考にしてもらいたい。

1. 著者名&タイトル
著者の名前と仮タイトルを表記。仮なので、会心の案がない限りは、内容がわかりやすいもののほうがベター。

2. 企画概要
企画概要では、まず大きなトレンドの話をしてから、この本がなぜ世の中に必要かを語るのがポイント。いきなり本の内容の説明をされても、決済権のある編集長等がそのジャンルに疎い場合、ニーズがさっぱりわからないからだ。

課題(なぜいまこの本が世の中に必要なのか)、解決(なぜこの本&著者がその課題を解決できるのかを、根拠とともに解説)、未来(この本が売れると世の中がどうなるのか)の順番で書くのが、楽かつ伝わりやすい。

3. プロフィール
書籍企画書でもっとも重要とされる項目。なぜなら、プロフィールが魅力的な人であれば、企画が微妙な場合、この人は面白そうだから他の企画をできないか訊いてみてという話になるが、企画が良くてプロフィールが微妙な場合、著者を変えようよという話になるからだ。

わかりやすく斬新な指導に定評がある、みたいな抽象的な自称ではなくて、のべ●●人以上を指導、タレントの●●さんを指導、●●社で3年連続営業トップ、●●1級資格保持など、客観性のある具体的な事実を書くことがポイント。

4. 目次案
目次案は制作中に変動していくものなので、本1冊分の内容があるとわかる程度のものでOK。他の同ジャンルの本を見ながらアレンジするといいだろう。ちなみに、紀伊國屋書店ウェブストアの書誌データは、Amazonと違って目次まで載っているものが多いので便利だ。

5. メディア出演歴
すでにメディアに露出していれば、それを記載する。いま注目されている人というのがわかりやすく伝わるので、あるに越したことはない。なければ項目ごと削除しよう。

6. 類書
営業向けの項目で、似たような本が売れている(ニーズがある)ことを示す役割がある。新人の意外な強みは、既刊データがないこと。いまは本の売上データがある程度各出版社で共有されているので、前作が売れなかった著者は新作を敬遠される傾向にあるからだ。

新人の強みを生かして、売れている本だけを5冊程度類書として並べよう。売上データにアクセスできない一般の方だと売れている本かどうかの判断が難しいかもしれないが、最近は本がヒットすると著者や編集者がSNSでそのことを発信していることが多い。タイトル+増刷、タイトル+万部などで検索してみると、自力でもある程度調査可能だ。

7. 読者対象
30〜40代の男性、既婚女性、20代以下の男女、高齢者など、ターゲットがはっきりしているものはそれを記載する。昔、20~80代の健康志向の男女と書いても企画は通過したので、あまり気にされない項目なのかもしれない。

8. PR
出版不況を代表する項目。新人は出版社の広告予算がゼロということも少なくないので、著者が自分でできるPRを記載する。いまだとSNSでの告知が主流なので、ツイッターのフォロワー数、フェイスブックの友達数、ブログのアクセス数が多いと、出版社側もある程度売れることが予測できるので企画通過に有利。最近はイベントで火がついてヒットすることもあるので、できそうな出版イベント(講演、セミナー、パーティ)も積極的に盛り込もう。

・弱点があれば強化すればいい
以上が書籍企画書に必要な8つの項目とそのポイントである。弱点(プロフィールとPRが弱点の場合が多い)があれば、強化すればいいだけなので、出版を目指している方はぜひ取り組んでみてほしい。魅力的な書籍企画書が完成したとき、あなたにとって出版は身近なものになっているはずだ。

掲載: Buzz+(バズプラス) http://buzz-plus.com
執筆: 鈴木収春

鈴木収春
クラウドブックス代表取締役。自由大学「伝わる文章学」「出版道場」教授。講談社客員編集者を経て、出版エージェントに。ドミニック・ローホー『シンプルリスト』、タニタ&細川モモ『タニタとつくる美人の習慣』などを担当。

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