【朝の重厚ライトノベル】優先席とおじいさんと気持ち悪い私

Priority seating


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体調が悪いので、いつもより30分遅れて家を出た。たったの30分遅れただけで、通勤に使っている電車は混雑していて、息苦しくなるほど車内に人間が詰め込まれた。朝から原因不明の吐き気とめまいがする。でも吊革にしがみついて耐えた。

ただでさえ体調が悪いので、「目の前の人が立ち上がって電車から降りないかな」と思っていたら、偶然にも、私の前に座っていたサラリーマンのおじさんが電車から降りた。これは助かったと思い、私はすぐさま座席に座った。

冷や汗が出るほど具合が良くない私は、座ったとたんにグッタリとした。すると「退けッ!」と声が上がった。誰かが誰かに叫んでいると思ったけど、それが私に対してだとわかったのは数秒後だった。

そう叫んでいたのは60~70歳くらいの白髪の小さなおじいさんだった。普段着なので、サラリーマンではないっぽい。私と目が合うと、「あんた! 若いのに座るな! 退けッ!」と言ってきた。

私は「具合が悪いんです」と言おうと思ったが、実はこの座席、優先席だったことに気がついた。「体調が悪い人は優先的に座っていいんだっけ」と思いつつも、もめたくないし、年配者を優先すべきという社会の流れもあるので、頑張って立ちあがり、席を譲った。

座ったおじいさんに「優先席は俺みたいな社会を築いてきた世代の席だ! 俺が日本を育てた! 平成ごときが座るなッ!」と言われた。私が元気だったら怒りが沸いたかもしれないけど、そんな気力もない。

そのあと突如としてメチャクチャ気持ち悪くなり、吐くよりも前に倒れ、私は絶命した。原因はわからない。気が付くと、真っ暗な部屋(?)の中に机と椅子とパソコンが一台あったので、この文を書いている。

もっと詳しく読む: 朝の短編ライトノベル / 優先席とおじいさんと気持ち悪い私(バズプラス Buzz Plus) http://buzz-plus.com/article/2019/10/09/morning-short-light-novel-priority-seating/

※写真はイメージです

作: 津賀ポルヌ(a.k.a. Wintermute)

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