【超ネタバレ映画レビュー】スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームに隠されたグリーンゴブリンとピーターの裏テーマ批評


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世界各国で公開されている「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(Spider-Man: No Way Home)が大絶賛されている。まさにオールスター的な内容に歓喜し、そのストーリーの深さに感動している人も少なくない。

・ここから先は完全にネタバレ100%

今回は、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」に秘められていると考えられるメッセージのひとつに焦点を当て、レビューしていきたとい思う。ここから先はネタバレしかないので、ネタバレしたくない人は読むべきではない。完全にネタバレ100%なので、ご注意いただきたい。



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・グリーンゴブリン誕生

グリーンゴブリン(ノーマン・オズボーン)はサム・ライミ版「スパイダーマン」において、強化人間とグライダーの開発を急ぐあまり、自身の体にパワー増強剤とその促進剤を投与。それにより善の「ノーマン」と悪の「グリーンゴブリン」というふたつの人格に別れる事態となった。グリーンゴブリンはトビー・マグワイア演じるピーター・パーカーやその家族を襲い、最終的にピーターとの戦いに敗れて命を落とした。

・命を落とす運命のグリーンゴブリン

別のユニバースではMCU版「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」にてドクターストレンジの魔術が失敗。サム・ライミ版のユニバースからグリーンゴブリンやトビー演じるピーターを召喚してしまい、MCU版のトム・ホランド演じるピーターとグリーンゴブリンが戦うことに。ちなみにグリーンゴブリンは、サム・ライミ版のユニバースで命を落とす以前の時点から召喚された。

・MCU版ユニバースで暴れるグリーンゴブリン

MCU版のユニバースでグリーンゴブリンが大暴れすると思われたが、ノーマンの人格は善であり、ピーターやメイおばさんに助けを求めるなど、メンタルが衰弱していながらもまともな人間として生きる道を探りはじめる。しかしグリーンゴブリンの人格がそれを許さず、ピーターを裏切って攻撃。さらにメイおばさんの命を奪った。

・ピーターが「命を奪う」ことを示唆

ピーターは怒りに燃え、グリーンゴブリンの命を奪うことにエネルギーとパワーを向けることになった。ピーターが自身の立場を犠牲にしてまでグリーンゴブリンを助けようとしたにもかかわらず裏切り、さらにグリーンゴブリンに対して親切にしていたメイおばさんの命まで奪ったのだから、ピーターが「命を奪う」ことを示唆し、怒りに燃えるのも理解できる。

・グリーンゴブリンは正気のノーマンへと戻る

グリーンゴブリンとの最終決戦。ピーターはグリーンゴブリンをボッコボコにし、とどめを刺せるチャンスを得て、グライダーで突き刺して命を奪おうとしたものの、トビー演じるピーターに静止され、ピーターは力なくうなだれて涙を流す。……しかしその隙に、トビー演じるピーターは背後からグリーンゴブリンに刺されるという非道な展開となる。さすがに怒りの限界となったピーターがグリーンゴブリンを突き刺して命を奪うと思いきや、ピーターはグリーンゴブリンをまともな人間に戻す薬を注入し、グリーンゴブリンは正気のノーマンへと戻った。

・ピーターが許す「グリーンゴブリンからの解放」

ピーターがグリーンゴブリンの命を奪わず、正気に戻る薬を注入するシーン。シンプルにいえば「ピーターがグリーンゴブリンを許すシーン」、この作品にとって極めて重要なシーンのひとつである。マーベル映画作品は、時代の流れに合わせ、さまざまな要素を取り入れており、特に差別問題やジェンダー理解などを多く取り入れてきた。しかも説教臭かったり、強引だったり馳せず、極めて自然な流れで。この「ピーターがグリーンゴブリンを許すシーン」も、そのような意味合いで解釈できる。

グリーンゴブリンに侵されたノーマンは、心の奥底から助けを求めていた。グリーンゴブリンからの解放である。気が付けば人を傷つけ、裏切り、命を奪っている。意図せず人を陥れてしまう行為、それほど辛いことがあるだろうか。

・本人が意図せず他人を傷つける

人はときとして、精神疾患により、本人が意図せず他人を傷つけてしまったり、自身を傷つけてしまうことがある。メンタルヘルスに関して理解が広まっているとはいえ、暴力的な行為をしてしまったり、被害を受けてしまうと、理屈ではわかっていても精神疾患を持つ者(または自分)を脅威と感じて避け(萎縮し)、批判し、差別し、罰を求めてしまうケースもあるだろう。

・本来あるべき当たり前であるものを示す

同性愛、性差別、肉体的障害、人種、民族、そして人類の域を超えて動物に至るまで、さまざまな「問題といわれてきた違い」を本来あるべき当たり前であるものにしてきたマーベル映画作品。今回のMCU版ピーターとグリーンゴブリンとの戦いは、精神疾患に対する理解という部分に踏み入ったシーンといえるのではないか。

・いまは理解できなくともいつかわかる

MCU版ピーターの怒りを静止したトビー演じるピーターは年齢と経験を重ねており、「許すこと」「理解すること」を若いMCU版ピーターに教えたともいえる。それは「いまは理解できなくともいつかわかる」ことを意味する。ピーターや私という一個人ではなく、私達、世間、世界に向けたメッセージであると理解した。



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もっと詳しく読む: 【超ネタバレ映画レビュー】スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームに隠されたグリーンゴブリンとピーターの裏テーマ批評(バズプラス Buzz Plus) https://buzz-plus.com/article/2021/12/22/movie-spider-man-no-way-home/

※記事の内容はライター個人の見解であり当編集部の考えを示すものではありません

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