医薬品・医療機器の製造を行うニプロ株式会社が、アルコールに替わる消毒液として期待できる『イオンレス次亜塩素酸水シーエルファイン』に関するオンライン説明会を行った。
この『イオンレス次亜塩素酸水』は医療品ではなく、洗剤や石鹸のような雑貨扱いの製品として、2020年9月から販売を開始。ニプロは今回の説明会で、さまざまな実験の結果を公開し、次亜塩素酸水の安全性と除菌の有効性を示した。
・次亜塩素酸水って何?
まず次亜塩素酸水について、ニプロから知り得た情報を簡単に説明したい。日常的に目にするアルカリイオン水と同じく、装置によって水を電気分解した溶液を「電解水」と呼ぶ。次亜塩素酸水は、次亜塩素酸を電気分解した電解水の一種。2002年に、次亜塩素酸水は殺菌効果のある食品添加物として厚生労働省から指定を受けているという。
ちなみに、要注意なのが「次亜塩素酸ナトリウム」や「酸性化次亜水」の存在だ。次亜塩酸ナトリウムはもともと危険物という扱いで、この次亜塩素酸ナトリウムに塩酸などを混合・希釈したものが「酸性化次亜水(酸化性)」である。どちらも除菌目的で使われるもので、名前も次亜塩素酸水と似ているが、次亜塩素酸水とは製法も成分も異なるまったく別物なので注意が必要とのこと。
・イオンレス次亜塩素酸水はここがすごい
『イオンレス次亜塩素酸水』は、不純物としてのイオンが、世界初レベルで少ない次亜塩素酸水である。イオンレスの次亜塩素酸水は、イオンが多く含まれる従来の次亜塩素酸水より「電気を通しにくい」「金属を腐食させにくい」「保存安定性が高い」という3つの点で優れているという。
電気を通しにくく金属を腐食させにくいため、空間噴霧が可能となり、使う場所を選ばない。そして保存安定性が高いためスプレー容器などに移し替えて、気軽に使用することができるという。
・安全性は水道水以上!
食品添加物として認可されている次亜塩素酸水だが、ニプロの『イオンレス次亜塩素酸水』にいたっては、水道水の基準をクリアするくらい安全なので、体内に入っても害がない。ph6前後に調整すれば飲用水とするのも可能だ。うがいによる口腔内除菌の使用も想定されている。
・気になる除菌効果は? 実験の結果から十分に期待できそう!
説明会では空中噴霧やスプレーでの除菌効果を量る実験結果が公開された。たとえば、6時間使用したサージカルマスクに、30ppmに希釈した『イオンレス次亜塩素酸水』をスプレーしたところ、菌の数は0。比較対象としての消毒用エタノールも同じ0との結果が出た。
また、ドアノブなどの除菌を想定し、シャーレへのスプレー噴霧後の10秒での菌の数を図った。『イオンレス次亜塩素酸水』は菌が0個に。消毒用エタノールは47個残っていたことから、除菌効果は非常に高いと考えられる。
・『イオンレス次亜塩素酸水』の利用シーンは?
『イオンレス次亜塩素酸水』は、日常的に触れる場所へのスプレー噴霧のほか、超音波加湿器などで空間噴霧することも可能だそう。ニプロ社員は実際に家に持ち帰り、室内で噴霧して使用しているとのこと。
物品だけでなく空間を除菌できるため、たとえばホテルの客室や、タクシー内の除菌などでも活躍しそうだ。
・もうアルコール消毒のしすぎで肌がボロボロ! 『イオンレス次亜塩素酸水』は低刺激なのが嬉しい
この一年近く、新型コロナウイルス感染対策で消毒をし続けてきて、手の皮膚がボロボロ、という方も多いだろう。皮膚に対する実験として、人間より繊細なウサギの背部の皮膚で実験したところ、消毒用エタノールに比べて刺激もかなり少ないことがわかっている。
新型コロナウイルスによるパンデミックが収束するまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。肌が弱くないとしても、日に何度も消毒を続けることを考えると、使い勝手がよく、低刺激で効果のある消毒液の登場は、嬉しいニュースだ。
・消毒で困ってる! アルコールに弱い人だけでなく、宗教的にアルコール使用不可な人も安心
さらに、アレルギーなどで消毒用エタノールが使えない人や、宗教的にアルコールが禁じられている人々にとって、「いかに消毒をするか」は、大きな問題である。アルコールではない『イオンレス次亜塩素酸水』はそういった人々も使用することができる。
日本発の安心安全な消毒液として、『イオンレス次亜塩素酸水』が日本だけでなく、世界中の人々の助けになることが期待されている。
今後、第三者機関などと協力しながら、ニプロはさらに実験を進めていくという。『イオンレス次亜塩素酸水』のこれからの動向に注目したい。
もっと詳しく読む: 【話題】アルコールに替わる消毒液「イオンレス次亜塩素酸水シーエルファイン」の安全性と除菌の有効性をニプロが示す(バズプラス Buzz Plus) https://buzz-plus.com/article/2021/01/29/nipro-clfine-news/